真冬の札幌で、もし再び「ブラックアウト」が起きたら…想像するだけで身震いしてしまうシチュエーションですが、これは決して絵空事ではありません。令和7年(2025年)の現在でも、大規模災害による停電のリスクは常に私たちの隣にあります。北海道の冬において、電気の供給が止まることは、すなわち「暖房の停止」を意味します。FF式ストーブも、パネルヒーターも、電気で制御されている以上、停電すればただの鉄の箱になってしまいます。室温が氷点下に近づく中、私たちはどうやって寒さを凌げばよいのでしょうか。そこで注目されるのが、どこの家庭にもある「カセットコンロ」です。普段は鍋料理などで活躍するこの道具が、非常時には「命をつなぐ熱源」へと変わります。しかし、使い方を一つ間違えれば、寒さ以上の恐怖、すなわち「火災」や「一酸化炭素中毒」を引き起こす凶器にもなりかねません。今回は、札幌在住の視点から、カセットコンロの防災力と、絶対に守るべき安全ルールについて、さっぽろ市民共済が詳しく解説します。ブラックアウトの再来に備える。カセットコンロは「命の火」になるか2018年の胆振東部地震の際、多くの道民が「温かい食事」のありがたみを痛感しました。停電で電子レンジもIHクッキングヒーターも使えない中、カセットコンロでお湯を沸かし、カップ麺を食べたり、温かいお茶を飲んだりすることで、不安な心が救われたという声が多く聞かれました。カセットコンロの最大のメリットは、「電気もガス管も必要としない独立性」にあります。カセットボンベさえ備蓄していれば、いつでもどこでも火を起こすことができるのです。冬の在宅避難において、カセットコンロができることは主に2つあります。1. 体の中から温める(食事・水分補給)2.暖房器具の補助(湯たんぽ作り)特に有効なのが「湯たんぽ」です。お湯を沸かして湯たんぽに入れ、毛布の中に一つ入れるだけで、驚くほど暖かく過ごすことができます。専用の湯たんぽがなくても、耐熱性のペットボトル(ホット用)や、タオルで包んだポリタンクなどで代用することも可能です(※火傷には十分注意してください)。このように、カセットコンロは熱を作り出す貴重なツールですが、これを「暖房器具代わり」に使おうとすると、そこには大きな落とし穴があります。【実験】カセットコンロで暖は取れる? 意外な実力と「絶対にやってはいけないこと」「カセットコンロの火をつけていれば、部屋が暖まるのではないか?」そう考える方もいるかもしれません。実際に、狭いキッチンでお湯を沸かし続けると、室温がわずかに上昇することを感じられます。しかし、カセットコンロを「直接的な暖房」として使うことは、「絶対に禁止」です。その理由は、以下の2つの致命的なリスクがあるからです。1. 目に見えない暗殺者「一酸化炭素中毒」現代の住宅は気密性が高く作られています。停電中は換気扇も回らないため、閉め切った室内でカセットコンロを長時間使用すると、酸素が不足し、不完全燃焼を起こします。その結果発生する「一酸化炭素」は、無色無臭でありながら毒性が非常に強く、気づかないうちに意識を失い、最悪の場合は死に至ります。「寒くても、必ず窓を開けて換気をする」これがカセットコンロを使用する際の絶対条件です。2. 暖房専用の「カセットガスストーブ」を用意するもし、カセットボンベを使って暖を取りたいのであれば、コンロではなく「カセットガスストーブ」を備蓄しておくのが正解です。これらは暖房用に設計されており、転倒時消火装置や不完全燃焼防止装置などの安全機能がついているものが多くあります。それでも換気は必須ですが、裸火のコンロを暖房代わりにするよりはずっと安全で効率的です。「もしも」の時の火災リスク。暖房が止まった時こそ「火の用心」災害時は、普段とは違う心理状態になり、慣れない方法で暖を取ろうとしてしまいます。カセットコンロの周りに燃えやすい物を置いて引火させてしまったり、ロウソクを倒してしまったりと、停電中こそ「火災リスク」は高まります。消防車もすぐには来られないかもしれない状況下で、自宅が火事になれば、それは自身の命だけでなく、地域の安全をも脅かすことになります。私たち「さっぽろ市民共済」は、こうした非常時にこそ、皆さまの助けになりたいと考えています。営利を目的としない「助け合い」の仕組みさっぽろ市民共済の火災共済は、火災による損害はもちろん、消防活動による水濡れや破壊などの損害も保障の対象となります(※詳細は約款をご確認ください)。また、地震などの自然災害が原因で火災が発生した場合には、通常の火災共済金は支払われないことが一般的ですが、当組合では独自の「自然災害見舞金」制度で、被災された組合員様をサポートしています。備蓄や道具の準備と合わせて、「万が一火を出してしまった時、家を失ってしまった時の備え」もしっかりと確認しておきましょう。まとめ冬の札幌で暖房が止まることは、命に関わる緊急事態です。カセットコンロは、そんな極限状態で温かい食事と湯たんぽを提供してくれる、頼もしい相棒です。しかし、その使い道を誤れば、一酸化炭素中毒や火災という別の災害を引き起こしかねません。「換気を徹底する」・「暖房代わりには専用器具を使う」・「火の元からは目を離さない」この3つの鉄則を守り、正しく恐れて、正しく備えてください。さっぽろ市民共済は、防災情報の発信を通じて、これからも地域の皆さまの安全な暮らしに寄り添ってまいります。冬本番を迎える前に、いま一度、防災グッズと共済の証書をご確認ください。


