
令和7年度事業計画の中で、当組合の“経営理念”というものを示しました。
これまでも当組合では、「手頃な掛金で大きな保障」といった組合のスローガン的なキーワードや、過去に策定した中期経営計画においては、「時代を超えて必要とされる市民火災共済を目指して」といった中期経営計画ビジョンを示してきましたが、正式な形での“経営理念”というものはありませんでした。
今回、経営理念をどのようなプロセスを経てひねり出したか?について、少し解説いたします。
まず、経営理念という船の"積み荷"となる、組織の価値観を整理します。
大きく分けて3つの視点から考えてみました。
会社が生まれた時の想い、大切にしてきたDNAは何か?
時代の変化にどう対応してきたか?事業の拡大や、時には苦い経験(不祥事からの学びなど)を経て、新たに加わった価値観は何か?
これからどこへ向かいたいのか?どんな組織を目指すのか?
これらの要素をテーブルの上に広げ、組織の「らしさ」を構成する要素を客観的に見つめ直します。
次に、洗い出した価値観を、よりシャープなキーワードに変換していきます。
例えば、「誰もが安い掛金で加入できる共済制度の普及」という創立以来の理念からは、「安心」「希望」「やさしい」といったキーワードが生まれるかもしれません。
価値観の要素 | 内 容 例 | 凝縮キーワード例 |
---|---|---|
1. 創立以来の理念 |
誰もが安い掛金で加入できる共済制度の普及 |
安心、希望、豊か、安定、やさしい |
2. 経営方針の変更(事業) |
火災共済事業の拡大、新たな保険事業の開始 |
挑戦、創造、拓く、築く、歩む、育む |
3. 経営方針の変更(組織) |
倫理観・コンプライアンス重視の組織運営 |
守る、確かな、信頼、誠実、着実 |
4. 未来の方向性更(組織) |
課題解決、失敗を恐れずチャレンジ |
挑戦、進化、チャレンジ、未来、希望 |
5.その他の要素 |
共済、組合、相互扶助、地域密着、組合員ファースト |
共に、支え合い、地域に根差し、奉仕 |
このステップで、理念の核となる言葉の候補が見えてきます。まるで原石から輝く宝石を選び出す作業です。
いよいよキーワードを組み合わせて、経営理念の候補となるフレーズを作成します。 ここでは、自由な発想で、たくさんの候補を生み出すことが大切です。
例えば、「安心」と「未来」と「共に」というキーワードから、以下のようなフレーズが考えられます。
「安心と希望を育む、安全な未来を共に創る。」
「共に支え合い、安心と希望を拓く未来。」
様々な組み合わせを試すことで、組織の想いを最も的確に表現する言葉が見つかるはずです。
たくさんの候補フレーズの中から、「これぞ!」というものを選び出す最終工程です。ここで、絶対に含めたい必須キーワードを改めて確認し、候補を絞り込みます。
さらに、表現方法も吟味します。
「安心と信頼で築く。希望の未来。」のように、名詞で終わることで、力強く、印象的に。
「地域と共に支え合い、信頼と希望で未来を創造します。」のように、丁寧で、決意表明のような響きに。
短いキャッチフレーズと理念本文を組み合わせることで、覚えやすく、メッセージ性も高まります。
例:「"地域をつなぐ。未来をつなぐ。" 支え合いの輪を広げ、希望の未来を創造します。」
表現方法一つで、理念の伝わり方は大きく変わります。まるで、料理の最後の仕上げ、スパイスを加えるような作業です。
これらのステップを経て、様々な角度から検討を重ね、ついに組織の新たな羅針盤となる経営理念が決定されました!