


令和7年の冬、札幌は例年以上の厳しい寒さに見舞われています。
断熱性能の高い現代の住宅は、私たち人間だけでなく、共に暮らすペットたちにとっても快適な避難場所です。
しかし、その暖かさと便利さの裏側で、「まさかうちの子が」という信じがたい火災事故が密かに増えていることをご存知でしょうか。
それが、飼い主の留守中に発生する「ペットによるIHコンロ火災」です。
かつてはガスコンロのスイッチを犬が押してしまう事故などが散見されましたが、タッチパネル式のIHクッキングヒーターが普及した現在、新たな主役は「猫」へと移り変わりました。
猫が高い場所に登るのは本能的な行動ですが、その可愛らしい「肉球」が、タッチセンサーにとっては人間の指と同じ導電体として認識されてしまうのです。
札幌市民共済として、私たちは単なる保障の提供だけでなく、組合員の皆様の生命と財産を守るための啓発活動も重要な使命であると考えています。
特に、冬場は暖を求めて猫が調理台に登りやすくなる季節です。
「ちょっとそこまで買い物に」と出かけたわずかな隙に、愛するペットが「放火犯」になってしまう悲劇は、決して他人事ではありません。
本記事では、最新の事例と具体的な対策、そして万が一の時に生活を再建するための「助け合い」の心構えについて、詳しくお話しさせていただきます。

なぜ、安全だと思われているIHコンロで火災が起きるのでしょうか。
その原因の多くは、IHコンロ特有の操作方法である「タッチスイッチ」と、猫の身体的特徴にあります。
最近のIHコンロは、軽く触れるだけで操作できる静電容量方式のタッチパネルが主流です。
このセンサーは、微弱な電気を通す物体が触れたことを感知して作動しますが、湿り気を帯びた猫の肉球は、まさにセンサーを反応させるのに十分な条件を備えているのです。
具体的な事故のシナリオは、驚くほど日常的な風景の中に潜んでいます。
例えば、飼い主様が調理を終えた直後、コンロの上にはまだ温かさが残っています。
寒がりの猫ちゃんがその余熱に引き寄せられて調理台に飛び乗り、歩き回った拍子に「主電源」を長押ししてロックを解除し、続けて「加熱ボタン」を踏んでしまうのです。
これだけでは火は出ませんが、問題はコンロの周囲に置かれた「可燃物」です。
未開封のキャットフードの袋、パンの袋、あるいは猫ちゃん自身が遊んで落とした布巾などがプレートの上にある状態で加熱が始まれば、あっという間に発火に至ります。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の報告によれば、ペットによる火災事故は毎年発生しており、その多くが飼い主の不在時に起きています。
「チャイルドロックをかけているから大丈夫」と過信してはいけません。
猫の体重や踏む時間によっては、長押し解除式のロックさえも突破されてしまうケースが報告されているのです。
札幌の冬、室内飼育が基本となるこの地域だからこそ、私たちはこのリスクを正しく理解し、「猫はどこにでも登るもの」という前提で対策を講じる必要があります。
令和7年の現在、スマートフォンの普及や家電のIoT化が進み、私たちの生活は格段に便利になりました。
しかし、外出先から家電を操作できる便利さは、裏を返せば「家の中の異変に気づきにくい」という死角も生んでいます。
留守番カメラで猫の様子を見守る家庭も増えましたが、カメラ越しにコンロが点火した瞬間を目撃しても、遠隔地から火を消すことはできません。
また、共働き世帯や単身世帯が増加している札幌においては、発見が遅れ、ボヤでは済まずに全焼に至るケースも懸念されます。
「うちはIHだから火事にならない」という思い込みこそが、最大のリスク要因であることを、まずは強く認識してください。

では、愛猫と私たちの暮らしを守るために、具体的にどのような対策を講じればよいのでしょうか。
精神論や注意喚起だけでは、突発的な動物の行動を防ぐことはできません。
物理的に「スイッチを押させない」、あるいは「押されても火が出ない」環境を作ることが不可欠です。
まず、最も確実かつ基本となる対策は、「元栓(コンセント)を抜く」、あるいは「ブレーカーを落とす」ことです。
使用都度の抜き差しは手間に感じるかもしれませんが、IHコンロ専用のブレーカーがキッチン近くに設置されている住宅であれば、外出時のみスイッチを切る習慣をつけることは、それほど難しくありません。
通電していなければ、どんなに肉球でタップダンスを踊られても火災は起きないのです。
次に重要なのが、「物理的なガード」です。
市販されているIHコンロ用の保護カバーや、スイッチ部分を覆うハードカバーを設置することで、猫が歩いても直接センサーに触れないようにすることができます。
特に、猫が好んで登るような足場をキッチンの周囲に作らないことや、キッチン自体への侵入防止柵を設けることも有効です。
しかし、猫のジャンプ力は侮れませんので、やはりコンロ周りの整理整頓が最後の砦となります。
「コンロの上には何も置かない」を鉄則としてください。
鍋やフライパンを置いたままにしないことはもちろん、猫の興味を引くような食べ物の匂いが残っていないよう、使用後はすぐに清掃することも大切です。
これらは、決して大掛かりなリフォームを必要とするものではありません。
日々のちょっとした習慣の見直し、いわば「暮らしのアップデート」で防げる事故なのです。
最近では、ペットの安全を守るためのアイデアグッズも数多く登場しています。
例えば、人感センサーが反応した時だけアラートを鳴らして猫を驚かせ、キッチンから遠ざける忌避グッズや、重さを感知してコンロカバーとして機能する強化ガラス製の台など、札幌市内のホームセンターでも手に入るアイテムが増えています。
また、札幌市民共済として推奨したいのは、住宅用火災警報器の定期的な点検です。
万が一発火してしまった場合、早期発見が被害を最小限に食い止めます。
警報器が正常に作動するか、電池切れがないか、今一度ご確認ください。

ここまで予防策をお伝えしてきましたが、どんなに注意深く対策をしていても、事故をゼロにすることは難しいのが現実です。
猫が予想外の行動をとることもあれば、地震などの災害が引き金となってスイッチが入ってしまうことも考えられます。
万が一、ペットが原因で火災が発生してしまった場合、法的には「重大な過失」と問われる可能性はあるのでしょうか。
一般的に、ペットの管理責任は飼い主にありますが、通常の使用状況であれば失火責任法が適用され、損害賠償責任が問われないケースもあります。
しかし、賃貸住宅であれば原状回復義務が生じますし、何より大切な我が家や家財を失う経済的ダメージは計り知れません。
ここで大きな支えとなるのが、私たち札幌市民共済の「火災共済」です。
私たちの共済は、営利を目的とした保険会社とは異なり、組合員同士が少額の掛金を出し合い、困ったときにお互いを助け合う「相互扶助」の精神で成り立っています。
ペットのいたずらによる火災であっても、それが故意でない限り、基本的には共済金の支払対象となります(※具体的な契約内容や約款によります)。
「うちは古い家だから」「借家だから」と加入を躊躇される方もいらっしゃいますが、再調達価額(同じものをもう一度購入するために必要な額)を基準とした保障など、生活再建に直結する手厚いプランをご用意しています。
また、札幌市民共済では、迅速な支払いをモットーとしております。
雪深い札幌の冬に家を失うことは、命に関わる緊急事態です。
そんな時、事務的な手続きに時間を費やすのではなく、人の温かみを感じられる対応で、一日も早い安心をお届けしたい。
それが、地域に根差した私たちの約束です。
愛猫との暮らしを守るためにも、防災対策とセットで、共済への加入・見直しをご検討ください。
それは、あなた自身を守るだけでなく、同じ札幌に住む誰かを支える力にもなるのです。

愛猫の可愛い「肉球」が、時として恐ろしい火災のスイッチになってしまう。
この事実は、IHコンロが普及した現代ならではの盲点と言えます。
特に暖房効率の高い北海道の住宅では、一度火災が起きると気密性の高さから一気に燃え広がる危険性も孕んでいます。
まずは、主電源を切る、コンロの上に物を置かないといった基本的な対策を徹底してください。
そして、万が一の事態に備え、札幌市民共済という「地域の助け合い」の輪に参加していただくことを心よりお勧めいたします。
私たち札幌市民共済は、令和7年も変わらず、皆様と大切なペットの安全な暮らしを支え続けてまいります。
冬の寒さが厳しい今こそ、防災と保障の両面から、大切な家族を守る準備を整えましょう。