


令和7年の冬も、北海道らしい厳しい寒さと雪が続いていますね。
札幌近郊にお住まいのみなさま、除雪や暖房の管理など、日々の暮らしを守るだけでも大変なご苦労があることとお察しいたします。
さて、最近私どもの窓口で非常に増えているご相談があります。
それは、「親が施設に入って実家が誰もいない状態になった」あるいは「相続したけれどすぐに住む予定がない」といった、いわゆる「空き家」に関する火災共済の取扱いです。
少子高齢化が進む現代日本において、実家の管理問題はもはや一部の方の話ではなく、誰にとっても“自分ごと”になりつつあります。
特にここ北海道では、冬期間の「水道凍結」や「屋根からの落雪」など、人が住んでいない家特有のリスクが非常に高く、無保険・無共済の状態で放置することは、資産を失うだけでなく近隣の方へご迷惑をおかけする大きなリスクとなります。
思い出の詰まった大切なご実家だからこそ、万が一の備えはしっかりとしておきたいものです。
しかし、一般的な保険や共済では、「人が住んでいない建物」は加入をお断りされるケースが少なくありません。
私たち札幌市民共済では、助け合いの精神に基づき、一定の条件を満たすことで空き家であっても加入できる道をご用意しています。
今回は、どのような場合に「空き家」でも火災共済に加入・継続できるのか、その具体的な条件と手続きについて、プロの視点からわかりやすく解説してまいります。

まず、大原則からお話しなければなりません。
私たち札幌市民共済を含め、多くの火災共済や火災保険では、原則として「空き家(無人の建物)」はご加入の対象外とさせていただいております。
これには、相互扶助の観点から見て、どうしても無視できない明確な理由があるからです。
火災共済は、加入者の皆さまから少しずつ掛金をお預かりし、万が一の時に助け合う仕組みです。
そのため、極端にリスクが高い物件を引き受けることは、他の多くの組合員さまの掛金負担を公平に保つためにも、慎重にならざるを得ないのです。
では、なぜ「空き家」はリスクが高いと判断されるのでしょうか。
人が住んでいれば、ボヤの段階で気づいて消火活動を行ったり、すぐに消防へ通報したりすることができます。
しかし、無人の家では火災の発見が遅れ、発見された時にはすでに全焼に近い状態になっているケースが非常に多いのです。
また、悲しいことですが、人気のない建物は「放火」のターゲットになりやすいという統計的な事実もございます。
さらに、北海道特有のリスクとして、冬期間の暖房を使用しないことによる建物の急激な劣化や、屋根の雪下ろしが行われないことによる倒壊の危険性も考慮しなければなりません。
当組合の規定では、「空家又は無人の状態が30日以上連続する場合」を空き家として扱います。
たとえば、長期の入院や出張、あるいは転居によって、生活の拠点がそこになくなってから1ヶ月以上経過すれば、それは立派な「空き家」となります。
この定義を知らずに、「週末にたまに帰っているから大丈夫」や「家具が置いてあるから住んでいる扱いになるだろう」と自己判断してしまうのは大変危険です。
もし、通知をせずに空き家の状態で火災に遭われた場合、最悪のケースでは契約が解除され、共済金をお支払いできない可能性もございます。
しかし、ここで諦めないでください。
私たち札幌市民共済は、地域に根差した助け合いの組織です。
一定の管理が行き届いている建物であれば、例外的に加入を認める「特例」をご用意しております。

原則はお断りしている「空き家」ですが、私たちが定めたルール(火災共済事業実施規則)に基づき、特定の条件を満たす場合には、例外的にご加入(または継続)いただけます。
その最大のポイントとなるのが、「適切な管理」がなされているかどうか、という点です。
放置された空き家はリスクの塊ですが、誰かが定期的に訪れ、人の目が行き届いている建物であれば、リスクは軽減されると考えるからです。
具体的には、以下のいずれかに該当する場合、当組合が適当と認めれば加入の対象となります。
たとえば、同じ敷地内に母屋と離れがあり、離れが空き家になっている場合や、ご自宅のすぐ隣に空き家となったご実家がある場合です。
この場合、日常的に目が届き、異変があればすぐに気づける環境にあるため、加入が認められるケースがほとんどです。
これが最も一般的な適用ケースです。
たとえ離れた場所にお住まいであっても、「概ね月に1回以上」、その建物に通って見回りを実施している事実があれば、加入が認められます。
見回りとは、単に外から眺めるだけでなく、建物の中に入って換気をしたり、雨漏りや異常がないかを確認したりする行為を指します。
また、ご自身で行くのが難しい場合でも、警備会社や管理会社などに委託して月1回以上の管理を行っている場合もこれに含まれます。
この「管理されている状態」こそが、安心の根拠となるのです。
上記以外にも、以下のようなケースでは加入が認められることがあります。
このように、「放置しないこと」をお約束いただければ、私たちは全力でその大切な資産をお守りします。

条件を満たして空き家での加入を希望される場合、または現在加入中でこれから空き家になる場合には、必ず所定の手続きが必要です。
「黙っていればバレないだろう」という考えは、万が一の時にご自身を苦しめることになります。
相互扶助の精神に則り、正直な申告をお願いいたします。
空き家として契約する場合、または契約期間中に空き家となる場合は、速やかに当組合へ「空家届」をご提出ください。
この書類には、空き家となる理由や、今後の管理方法(誰が、どのくらいの頻度で見回りをするか)などを記載していただきます。
この届け出を受理し、当組合が承認することで、初めて保障が有効となります。
建物については上記の条件で加入できますが、建物の中にある「家財(動産)」については注意が必要です。
原則として、人の住んでいない建物内の家財は、盗難のリスクも高く、生活の実態がないため共済の対象外となります。
ただし、ここにも例外があります。
例えば、転勤などで一時的に空ける場合で、生活用品の多くがそのまま残されており、かつ月1回以上の見回りがなされている場合に限り、当組合が適当と認めれば家財も保障の対象とすることができます。
しかし、すでに必要なものを運び出し、不用品だけが残っているような状態では、家財の加入はできません。
北海道の冬、空き家で最も多い事故が「水道凍結」です。
当組合の火災共済では、凍結によって水道管が破裂した場合の「修理費用」は保障の対象となりますが、そこから水が漏れて床が濡れてしまったという「水濡れ損害」については、空き家の場合は発見が遅れ被害が拡大しやすいため、状況によっては保障が制限される、あるいは対象外となる可能性もございます。
空き家にする際は、必ず「水抜き」を徹底するか、専門業者に依頼して冬支度を完璧に行うことが、加入者の皆さまの責務となります。

実家が空き家になるということは、単に建物が残るだけでなく、そこにある家族の歴史や思い出を守っていくことでもあります。
札幌市民共済では、「空き家だから」と一律に切り捨てるのではなく、皆さまがしっかりと管理され、大切にされている建物であれば、喜んでその安心を支えさせていただきます。
重要なポイントは、「放置せずに管理すること(月1回の見回り)」と「正直に届け出ること(空家届)」の2点です。
この2つさえ守っていただければ、営利を目的としない私たち共済組合ならではの、小さな掛金で大きな安心をご提供できます。
もし、ご実家の管理や共済の契約について迷われていることがあれば、そのままにせず、ぜひ一度お電話や窓口でご相談ください。
札幌・北海道の厳しい環境の中で、皆さまの大切な資産を守るために、私たちが親身になって最適なプランをご提案いたします。
「助け合い」の心で、不安のない明日を一緒に作っていきましょう。