家具の固定、できていますか?地震対策【自宅でできること】

家具の固定、できていますか?地震対策【自宅でできること】

地震対策の基本、家具の固定。わかっていても後回しにしていませんか?この記事では「面倒」「見た目が…」を解消する最新固定術から、今日からできる小さな一歩まで解説。あなたと大切な家族の命を守る、本当に役立つ知恵をお届けします。

本当に大丈夫?あなたのお家の家具固定!

皆さん、こんにちは!暮らしの安心をデザインする防災ライターです。

 

突然ですが、お部屋を見渡してみてください。その本棚、食器棚、テレビ…しっかり固定されていますか?

 

「地震対策で家具の固定が大切なのは、もう聞き飽きたよ」
「うちは大丈夫だと思う」

 

そんな声が聞こえてきそうです。ええ、わかります。毎日忙しいですし、正直なところ「面倒」ですよね。でも、その一瞬の油断が、取り返しのつかない事態を招くとしたら…?

 

今回は、そんなあなたの心のハードルを少しでも下げ、「やってみようかな」と思っていただけるような、意外と知られていない家具固定の新常識と、今日からできる具体的なアクションをご紹介します。


その家具は「凶器」になる。地震の揺れをナメてはいけない本当の理由

「うちの家具は重いから倒れない」「壁際にぴったりつけているから大丈夫」
実は、これらは非常に危険な思い込みです。大地震の揺れは、私たちの想像をはるかに超えます。家具はただ倒れるだけではありません。

 

滑る(すべる):

キャスター付きの家具やテレビ台は、床の上をスケートのように滑り、人に激突します。

 

飛ぶ(とぶ):

固定されていない電子レンジやテレビは、まるで砲弾のように宙を舞うことがあります。

 

ねじれる:

背の高い本棚や洋服ダンスは、ぐにゃりとねじれながら倒れかかり、部屋の出口を完全に塞いでしまうのです。

 

これが何を意味するか。それは、いつも見慣れた家具が、一瞬にして命を脅かす「凶器」に変わるということです。

 

阪神・淡路大震災や熊本地震では、多くの方が倒れてきた家具の下敷きになって亡くなったり、大怪我を負われました。また、散乱したガラスや家具で避難経路が塞がれ、逃げ遅れてしまったケースも少なくありません。

 

「自分だけは大丈夫」と思ってしまうこの心理を「正常性バイアス」(※自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする心理のこと)と呼びます。しかし、災害は誰にでも平等にやってきます。

 

まずは、「わが家も危険かもしれない」と認めること。それが、あなたと家族の命を守る、最も重要で、最も尊い第一歩なのです。


「ダサい」「面倒」はもう古い!暮らしに溶け込む最新固定術

家具固定と聞くと、壁に大きな穴を開けてL字金具を取り付ける…そんなイメージがありませんか?「賃貸だから無理」「部屋の見た目が悪くなるのは嫌」と諦めていた方にこそ、知ってほしい最新の固定術があります。

 

【賃貸でもOK!壁を傷つけないスマート固定】

 

つっぱり棒(ポール式圧着固定具):

最も手軽で強力な方法の一つ。最近では、デザイン性の高い木目調のものや、圧迫感のないスリムなものが増えています。ポイントは、天井のしっかりした場所(梁など)に設置すること。設置も簡単で、女性一人でも十分可能です。

 

ストッパー式・マット式:

家具の下に敷くだけで、滑り出しを防ぎます。特に透明なジェルマットは目立たないので、テレビやパソコン、インテリア小物の下に敷くのに最適。100円ショップでも手に入るので、すぐに試せるのが嬉しいですね。

 

【発想の転換!「置かない」という選択】

固定が難しいなら、「危険な場所に置かない」という発想も大切です。

 

寝室には背の高い家具を置かない:

就寝中に地震が起きたら、逃げ場がありません。寝ている場所に倒れてこない配置にするか、思い切って背の低い家具に買い替えるのも一つの手です。

 

避難経路を確保する:

玄関や廊下、ドアの周りには、倒れる可能性のあるものを置かない。これは鉄則です。

 

【「ご近所力」で防災力アップ!】

家具の固定は、自分一人の問題ではありません。もし、あなたの家の家具が倒れて火災が発生したら?もし、アパートの廊下に置いたものが散乱して、隣人の避難を妨げたら?

 

そう、あなたの家の安全は、地域全体の安全につながっているのです。これは、私たちが大切にしている「相互扶助」の精神そのものです。

 

「うち、つっぱり棒買ったんだけど、一人じゃ大変で…」「高いところ、手が届かなくて」そんな時は、ご近所さんに声をかけてみませんか?「お互い様」の気持ちで協力し合えば、作業はぐっと楽になりますし、地域の絆も深まります。これが、いざという時に助け合える**「地域貢献」**の第一歩になるのです。


「完璧」じゃなくていい。今日からできる「命を守る3つの宿題」

「全部やらないと!」と気負う必要はありません。完璧を目指すと、かえって動けなくなってしまいます。大切なのは、優先順位をつけて、できることから一つずつ始めること。

 

さあ、今日からできる「命を守る3つの宿題」を提案します。ぜひ、ご家族と一緒に取り組んでみてください。

 

【宿題1:寝室の安全チェック】

まずは、一日の3分の1を過ごす寝室から。
枕元に、倒れてきたり落ちてきたりする物はありませんか?(額縁、本、時計など)
タンスや本棚は、寝ている自分を直撃しない位置にありますか? もし危険があれば、家具の向きを変える、物を移動させる、これだけでも立派な対策です。

 

【宿題2:一番大きな家具を一つだけ固定してみる】

リビングで一番背の高い食器棚、子ども部屋の本棚など、家の中で「これが倒れたら一番危ない」と思う家具を一つだけ選んでみましょう。そして、次の休みに、その家具を固定することだけを目標にするのです。つっぱり棒を1セット買う、耐震マットを敷く。たったそれだけで、家の中の安全度は格段にアップします。

 

【宿題3:家族で「防災さんぽ」をしてみる】

 

お子さんがいるご家庭に特におすすめです。家の中を散歩しながら、「このお皿、地震が来たら落ちてくるかもね」「このおもちゃ箱は、ドアの前にあったら危ないね」と、一緒に危険な場所を探してみましょう。ゲーム感覚で楽しみながら、家族全員の防災意識を高めることができます。